女性心理学者の元に、建設会社役員のゲイリーとフランという夫妻が来ました。
えっちの相性がどうにも良くないということについての相談です。
「私は、ゲイリーの性的な欲求のはけ口に利用されているような気がするんです」フランは言いました。
・「何か気になることがあるのはわかるけど、夫は何も言ってくれない分激しく求めてくるんです」
「そうしても彼は楽しくなさそうだし、お互い満足なんてしてないことがわかるの」
そこで女性心理学者はゲイリーに、攻撃的なえっちをした日を思い出させました。
そして、その日何が起きたのかという事を話してもらいました。
「その日、建設会社で責任者と喧嘩をしました。提出する報告書がいいかげんだったんです」
「同じミスに対する注意を繰り返さなければならず、朝から苛立っていたんです」
「その日の午後に行われた入札で、うちより高い値をつけた会社がいたんです」
「これには本当に心底がっくりきました」
「契約を取る為に、二ヶ月間も努力してきたのに…とにかくとてもひどい日でした」
・「わかりました。では、さっきの彼女の話みたいに寝室で彼女を求める姿を想像してください」
「あの時の夜と同じ気持ちで。あなたは何を感じていたのかを話してください」
すると、彼は少しだけ考えるようにして次のように言いました。
・「苛立ちと疲れで落ち込んでいました。契約が取れなかったショックが強かったんです」
「仕事から抜け出してどこか遠いところへ行って、楽になりたかった」
「そして、何の責任を感じることなく暮らしてみたいと感じていました」
女性心理学者は「性的な興奮が出てきたり魅惑的な気分だったの?」と聞きました。
「確かに、そんな風に聞かれるとそんな気分にはなれなかったと思います」ゲイリーは答えました。
「もし、あなたが性行為を求めていなかったのなら何が欲しかったの?」
・「…フランのそばにいられるんだっていう実感が欲しかったんだ。」
「彼女が僕に残念がらず、愛してくれている確認をしたかった。誰かが自分のそばにいる事を…」
・「フランが横になってそっと撫でたり抱きしめて、愛しているかを話したらどんな気分になるの?」
「彼女が何も言わず、ただじっとあなたの話を聞いてくれたとしたら…?」女性心理学者は尋ねます。
「きっとあの日の夜に感じたよりも、もっといい気分になれたのではないでしょうか」彼は答えました。